BLOG

2025/01/25 20:01

インテリア業界のプロが1月、パリに集まる理由。


パリの1月! 世界中のインテリアのプロにとって特別な1ヶ月。
毎年1月、世界中から一斉にプロフェッショナルが集まる二つの大きなインテリアイベントがパリで開催されます。
一つ目は「 MAISON&OBJET 」、二つ目は「 Paris Déco Off 」、 ファッションでいう ”パリコレクション(パリコレ)” のインテリア業界版がこのイベント、世界中からインテリア業界のプロフェッショナルたちがトレンドをいち早くとらえるために1月にパリに集まり、パリから発信された最新トレンドを自分の国に持ち帰り発信するのです。1月のパリで発信されたトレンドは世界中を駆け巡ります。家があれば部屋があるのですから、インテリアというものは世界中どの国でも必要なものなのです。
壁紙やペイント、カーテンやミラーなど壁装、彩られた空間に配置する家具と照明やラグなど、お部屋の中にあるすべてのアイテムに関わるプロフェッショナルたちに加えて、ブランドオーナーからデザイナー、バイヤー、ショップオーナーなど様々な立場のプロが、この時期パリに集まります。なのでパリの街は1月中旬あたりからソワソワ。
インテリアのショールームなので、カーテン、壁紙、床材など新作を見せるためには改装が必要ですね!そんな感じで工事に入るショールーム多数、イベントが近づいてくると大きなトラックが街中に集まり展示の設営に大忙しです。

パリの郊外の大きな展示会場「 MAISON&OBJET 」
ではまず初めに「 MAISON&OBJET」について。160カ国から10万人が来場する規模で、”Paris Nord Villepinte(パリ シャルル・ド・ゴール空港近くのヴィルパントにある大規模なコンベンションセンター)” という24万6000㎡の広さの会場(その大きさは東京ドームの5~6個分)で開催されます。毎年1月・9月にパリで開催され、インテリアデザインとライフスタイルのトレンドを発信する世界最高峰の国際見本市。1日ではとても見て回れない規模なのです。「MAISON(メゾン)」とは「家」のことで、 「OBJET(オブジェ)」は「物」を意味します。とにかく大きな会場は、1日では見て回れません。インテリアは空間の材料である床壁材はもちろん、家具、食器、照明、布、フレグランスなどインテリアの幅は広いのです。

François Delclaux さんにより毎年開催される「WHAT’S NEW!」は楽しみな展示。
毎年異なるトレンドワードで会場にきたインテリアのプロたちを唸らせます。
クラッシックなインテリアはもちろん、ビビッド、カラフル、エレガント、さまざまなインテリアを一度に同じ場所で見れるのも醍醐味。
流行りの色や、家具のフォルム、素材などをチェックします。



パリの街がショールームになる「Paris Déco Off」
パリ右岸のメール通りと、左岸のサンジェルマン・デ・プレ地区と大きく2つのエリアに分かれていて、街中がショールーム化してパリの街歩きをしながら新作チェックができる素晴らしいイベント。そして夕方になってくるとシャンパングラスを片手に新作チェックするショールームが多数、エレガントに楽しめるのが「 Paris Déco Off (PDO)」です。
インテリアのプロが毎年このイベントに参加するためにパリに集まるので、「今年もまた会えたね!」と再会を楽しむイベントでもあります。 さらに、ファッションイベントであるパリコレが同じ時期に開催されるので、多数の業界関係者が来仏しています。だからでしょうか、街の華やかさが増長するようです。とにかくパリの街中におしゃれな人が増えて、どこかしこで楽しく美しく賑やかで、新しいコレクションと出会える、これが1月のパリなのです。


「Paris Déco Off」の2025年のMAPです。
パリに来たことがある方はわかるでしょう、左岸がサンジェルマンデプレでパリの中でも美しく観光でも有名な場所です。
赤文字は比較的新しいブランドで、黒字は老舗ブランド。M&Oはやる気があれば出展できますが、PDOはそうはいきません。
老舗であり、毎年新作のコレクションを出せるブランドでなければ出展が許されません。
いつか、出展してこのMAPに載ってみたい。。。



Paris Déco Off は、出展者の半数が自社の常設ショールームを活用するブランドで、あと半数はこの期間のみギャラリーを借りて自社のショールームのように改装して参加できるもの。1週間だけのショールーム展示に労力とお金を注ぎ込みます。
現在の私のパリのお店「BOLANDO」は Déco Off の中心地、サンジェルマン・デ・プレにあります。しかし、ここに店があるからといってDéco Offに参加できるわけではありません。Déco Off に参加してカタログに名前が掲載されるのは、世界中の名だたるブランドのみ。インテリア業界での実績と信頼がなければ参加は許されないのです。


長くインテリア業界に身を置いている私にとって興味深いのは、パリで流通しているインテリア商材は高価なものはどこまでも高く、安いものはない!という点で日本の市場との違いがあることです。 
なぜ高級商材がパリで売れるのかというという問いについては、こちらに来る前からある程度回答を持っていました。それはパリには貴族と呼ばれる階層の方々がいるのと、高級な商材はパリで買おうと訪問する人がいるからです。パリでしか見られない商品はたくさんあります。
是非皆さんもパリに本物のインテリアを見に来てくださいね!

ご興味ある方は、 MAISON&OBJET と Paris Déco Off のインスタライブを MATERIALのInstagram にアップしていますので見てみてください。