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2025/11/12 03:16

18世紀の啓蒙時代、壁紙の元祖と言われるドミノ印刷 「Dominos」という印刷工法が生まれた。
現在のようなロー ル状の壁紙を使うのではなく、35cm×45cmという小さな 紙の中で表現できる美しい色柄の連続によって壁をしつら え、小さな紙を壁面に一枚一枚張り重ねていくことで、一面 の壁紙を形づくっていたのだ。 この18世紀の壁紙を現代に甦らせたのが、今回お話を聞 いたフランスのアーティストANTOINETTE POISSON.。 彼らのアーティスティックな壁紙は、フランス産の手すき和紙をベースにしている。モチーフが彫られた版に黒いインクをのせ、当時と同じ印刷機を用いてベースとなる紙に刷り込 んだ後、線画部分にステンシルを施す。ステンシルは彼らの手ずから筆で塗り重ねられており、出来上がった壁紙一枚一枚が一点ものだ。
製造はパリ市内に構えたアトリエにて、すべて手作業で行われている。
このせわしない時代に逆行するかのように、ていねいに、スローに。
そのものづくりの真髄をのぞき見させ てもらった。
(こちらの記事は2018年に発刊されたタブロイド紙MARERIALの記事です。)

ANTOINETTE POISSON アントワネット・ポワソン
18世紀のパリと壁紙を愛する美術修復家の Vincent Farelly(ヴァ ンソン・ファレリィ)、Jean-Baptiste Martin (ジャン=バティスト・マルタン)が2012年 に立ち上げたブランド。18世紀の趣きを素材感豊かにおとしこんだ壁紙、日常使いのボックスやファブリックなどが代表作。ブランドネームは、ポンパドール公爵夫人として知ら れたルイ15世の愛妾、アントワネット・ポワソ ンに由来する。アーティストやフランスの有名ブランドとのコラボレーションも多数。
凸凹のある手すきの紙いっぱいに広がる植物、鳥、幾何学模 様などのモチーフ。微妙な彩色のずれが織りなす多層的な美し さ。作品をひと目見れば、伝統を尊敬しながら新しいものづく りを続ける彼らの姿勢がひと目見て手に取るように伝わってき ます。

――おもにどんなデザインを扱っているのでしょうか。
ANTOINETTE POISSON.:今まで手がけた作品は26点 あり、そのうちの6点は複製品、10点は歴史的なドミノの 再現品、そのほかは私たちのデザインです。単色のデザイ ン以外は、どのデザインも最初は黒インクの印刷をした後 に、色をステンシルで重ねていきますので、一枚一枚に表 情があり、同じものは二度とできません。 今の壁紙の印刷技法はフラットで質感が足りないと思っ ています。私たちの制作は伝統的な技術を守りながら、 かつユニークであり、一枚ずつ同様でなく不完全なほど チャーミングになると思っています。

――以前は美術修復をされていたそうですが……。
ANTOINETTE POISSON.:以前取り組んでいた美術修 復は、ありのままを忠実に再現することが重要で、その当 時のままの作品として尊重する仕事でした。私たちは修復 以上の情熱を持って取り組んでいましたが、昔からのルー ルにとらわれずクリエイティブな作品造りをしようと決意 して、ANTOINETTE POISSON.を立ち上げました。 私たちの作品は過去と未来の組み合わせです。伝統的技 術を現代だからこそ評価されるドミノ壁紙という価値をみ なさんに感じてもらって、ご自分の生活空間に取り入れて いただけると光栄です。

――配色はどうやって決めているのですか?
ANTOINETTE POISSON.:18世紀に使われたフランス の伝統色で配色しています。その色を再現するために何度 も調色し同じ色を再現します。黒の線画部分は大理石の上 でインクを均等に伸ばし、版の上にインクをのせます。版 を使って手で刷ることにより、同じ表情の作品は二つとな く、一枚一枚が少しずつ違った表情をしています。紙だけ でなく布にも同じ工程で製造しています。

――とても手がかかっているのですね。一日に何枚くら い作れるんでしょうか。
ANTOINETTE POISSON.:最初の黒インクで刷るのは 100枚くらいですが、その後にステンシルで色をつけてい くので、色数にもよるけれど、一日にすると5,6枚程度です。 色もその都度調合するし、筆で一枚ずつ色付けしていくも のだから、それくらいが限度ですね。


今の日本に、安くてかわいいものはたくさんあふれています。
そんな世の中だからこそ、ANTOINETTE POISSON.の作品に 触れると心が強く惹き付けられるのです。
パリのエスプリが 詰まった素敵なアート、リビングルームや玄関などにいかがで しょうか?
(こちらの記事は2018年に発刊されたタブロイド紙MARERIALの記事です。)
