BLOG

2024/10/18 19:48


襖。ふすま。
皆さんに家に襖はありますか?
昔はあったけどリフォームしてから和室はなくなってしまった、と言う家も多いのではないでしょうか。
最近の新築の家では和室がない家もあるそう。。。

襖とは、平安時代からある日本の動く壁。1000年以上前の平安時代にあったなんて日本人ってすごい。
源氏物語では「開きたる障子をいま少しおし開けて、こなたの障子は引きたて給いて」とありますが、この頃の貴族たちにとって
襖や障子はすでに生活の一部だったのですね。
皆さんもご存知だと思いますが、「ふすま」とは細い木の骨組みに和紙を貼り合わせた一畳程度の大きさのもの。
これは源氏物語の平安時代から基本的に大きく変わっていないのです。両面に貼ってある何重も重ね貼りされた和紙の効能で、保温や防音、調湿までしてくれます。



1000年以上前から日本の生活と共にあった襖。

源氏物語の時代の建物は寝殿造。木の柱で建てられた空間に最小限の壁を作る以外、その他は襖や障子で動くものでした。
夏の暑い時は開けては風を通し、寒い冬は小さく区切り暖かく暮らす工夫がありました。季節によって、住まい方によって臨機応変に対応できる動く壁が襖だったのです。
襖は鎌倉時代に襖はさらに進化し、引き手がついて装飾がされるようになりました。和歌や茶道が愉しまれるようになり、襖と畳の空間をどのように美しく見せるか、人を家に呼び、美しい空間でおもてなしをする文化が生まれました。
襖に大きな自慢の襖絵を絵師に描かせ客人に見せるのも、このおもてなしの心からです。
そして、安土桃山から江戸時代になると、建物や内装の美しさで権威を象徴するようになり、強く美しい豪華絢爛な襖が求められました。
日本での内装デザインのことを「しつらい」と言います。
平安時代から、行事や祭事などの儀式で人を家に呼ぶために、季節に合わせて襖や調度品を配置し飾り空間をつくることを「しつらう」と言っていました。家の単なる間仕切りの役割ではなく、生活を愉しむための大切な装飾品だったのですね。
日本の内装デザインの根本はこの襖にあると思います。

世界的に有名な建築家ブルーノ・タウトは日本の襖を知った時にこう記しています。「実際、これ以上単純で、しかも同時にこれ以上優雅であることは、まったく不可能である」(「永遠なるもの」『日本の家屋と生活』

日本のしつらいを世界へ。

MATERIALの姉妹の夏水組はこの襖を世界に広めて日本人も襖の良さを再考してもらえたらという想いから、世界で一番と言われるインテリア業界の展示会「Maison &Objetがパリで年に2回あるのですが、日本の襖紙を持って展示会に4回に参加してきました。4回出店して分かったことは、日本の和の建材の評価は世界中のインテリアのプロからの評価が高く、日本でなくても、パリやイタリアなど離れた地で畳や和紙を建材として使いたいと思っている人がたくさんいるんだということです。


襖紙、畳、染の反物、伊勢型紙、和紙など日本の伝統建材と模様はパリでも好評でした。

夏水組オリジナル襖紙づくりに欠かせない「伊勢型紙」。長い歴史を持つ日本伝統的工芸品である「伊勢型紙」を用いて生み出されます。展示会では、その伝統を繋ぐ「テラコヤ伊勢型紙」の木村さんに型紙製作を実演いただき、人だかりができるほどの人気でした。
詳しくは夏水組のブログで詳細をご覧いただけます こちら


こちらは「MIMARU大阪 心斎橋WEST」のエントランス。海外のお客様が多い心斎橋のホテルに納品した襖絵の歌舞伎松。
エントランスの長さを活かした迫力満点の舞台松の和紙です。金銀砂子という襖の伝統技法が施されたこのパネルは日本の襖紙の職人が一枚一枚金箔を振りつくられたものです。

製作はいつもお世話になっております大場紙工さんで。惚れ惚れするほど美しいです。

いかがでしたでしょうか?
夏水組の襖紙は、そのデザインモチーフだけでなく、伝統技法を使った製作方法や新しい技術を使った印刷方法の両方を未来に繋いでいくためのインテリアアイテムとして日本中に世界中に広まることを心から願い、これからもMATERIALで発信し続けて参ります!

     


こちらもどうぞ  「 金銀砂子と歌舞伎松 」