BLOG

2024/11/19 17:21



七夕の歌の中に「金銀砂子」という歌詞があるのを覚えていますか?

ささの葉さらさら のきばにゆれる お星さまきらきら きんぎんすなご
きんぎんすなごとは漢字にすると金銀砂子のこと、金銀の箔の粉を夜空に輝く星々に見立てて星空や天の川のキラキラと光り輝いている様子を表しています。

金銀砂子とは。


金銀砂子とは金と銀の箔を細かくしたものを、古来の接着剤である膠液で描いた絵の上に、竹筒で箔を空気中に舞い落として模様を描く世界でも類を見ない日本独自の金箔の加飾技法です。この枝法は、古くは平安時代の平家納経や源氏物語絵巻などにも見られるもので、日本の美術史に残る作品や、歴史的建造物の襖や屏風、扇子や着物などにも使われています。
かつての日本建築において、本物の金箔・銀箔を使えたのは上流階級の家でした。平安時代から、蝋燭の灯りで暮らしていた日本の建築物は暗く、いかに建物の内部を美しくそして明るく演出するのか、そこで生まれたのが金屏風や金襖、蒔絵など箔や金泥を用いた美術作品が生まれました。そして仏像や神社の装飾に金が使われるように信仰の拠り所にもなっていました。
金独特の美しく強い光沢、保存性にも優れている金は様々な美術様式の進化と発展を遂げました。



大場紙工での作業写真 古くから変わらない技法で今も続けています。

松と金銀砂子。

歌舞伎の背景に描かれた松、二条城の二の丸御殿にはなぜ大きな松が描かれているのでしょう。
松は四季を通じて緑を保ち千年の樹齢をもって大木となります。松の木の全体を描いた老松は樹齢を経た幹の太さや枝振りの美しさを愛でる格調高い意匠として襖絵や能舞台の背景などに用いられ「影向(ようごう)の松」とも呼ばれています。
影向とは神仏が現れる依代のことを言いますが、例えば日本ではお正月に門松を立てて神様を迎える習わしがありますよね。年の初め家ごとにたてる門松は神霊を招き寄せるといわれ、その年の神が降臨する神木として松は重要な役割をはたしています。
松は厳寒に耐えてなお変わらず青さを保つ常緑樹であることから 古来より特別な縁起の良い木として不老長寿、永遠の若さ、英気などの象徴となっています。   
松の葉の色を「常盤色(ときわいろ)」というのですが、通年葉の色が変わらないことから常盤、永遠の色と言われてきたのです。
この常盤の影向の松の背景に合わせ描かれるのは金銀砂子の雲。一粒一粒、幾重にも重なった様々な大きさの金銀の砂子が熟練の職人が手に持つ竹筒より金箔がひらひらと舞い落ち、この雲が描かれます。
金箔の種類にも様々な大きさや形があり、大石、小石、砂子、微塵、野毛、ちぎれなど多彩な表現で、襖や壁面を彩るものとしては最も華麗な技法なのです。
歌舞伎松の制作工程 一枚一枚、丁寧に制作されています。



平安時代から続く日本独自の技法 金銀砂子を残すために。

この日本独自の金銀砂子の技術ですが、和室がなくなり洋室化される現代で、砂子の技法を使った装飾品や襖を注文する人が少なくなり、日本に残る継承する職人も数えられるほどに減りました。
MATERIALの姉妹会社であるデザイン会社の 夏水組 が埼玉県にある大場紙工を尋ねたのは10年ほど前のこと。
日本の古き良き伝統的な内装建材としての襖をより多くの方に選んでもらいたいという思いからプロジェクトは始まり、パリで毎年開催される MAISON &OBJET に出展し、今ではパリのお店 BOLANDO からヨーロッパ各地へ。一番人気の和紙となっています。
この歌舞伎松は、 越前和紙を手揉みした和紙に老松の襖絵を再現した特注制作で、何度も特殊印刷をかけ熟練の金銀砂子職人の技によってできた逸品です。 


特注制作の和紙ですので、お客様のご要望の寸法で制作いたします。 下地の色、金銀砂子の位置と大きさ、色などお客様のご要望にて調整いたします。 
その他、襖4枚続き絵はもちろん、大型パネル貼り、壁面貼りなどお客様のご要望に併せて制作いたします。
金銀砂子の位置や量もご要望をお聞きしてから制作に入りますので完全特注製品となります。
まずはお問い合わせいただきご要望をお聞かせください。素晴らしい日本の伝統的な金銀砂子の技法を大場紙工の職人たちと一緒にお楽しみください。

大場紙工のHPは こちら  Instagramは こちら

                      

商品の価格は1mあたりの参考価格です。下地の紙質、貼り方、加工、砂子の種類によって金額が異なりますのでご了承ください。

こちらもどうぞ 「襖と和紙。日本の伝統建材。