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2025/06/17 05:40

日本の伝統的な住まいには欠かせない和室、皆さんの実家やお住まいのお家にもあると思います。
和室とは、床に敷き詰められた「畳」、部屋を間仕切る「襖」や「障子」によって構成された部屋のこと。昔から心地良い癒しの空間として親しまれてきました和室ですが、現代の住宅では洋風が主流になっており、和室のない家も多くなりました。生活様式の変化がありますから和室の必要性や使い方について迷う方も多いのでしょう。実際に家づくりの相談を受ける時、和室を残すかどうかの問題は毎回皆さん悩んでいます。そんな中、最近になって子育て中の若い世帯を中心にくつろぎの場としての和室の良さが見直され、和室の良さを生かした家づくりも盛んになっているのです。
それもそのはず。和室に使われている材料は自然素材で、藁とい草でできている「畳」は、湿度が高いときには湿気を吸収し、空気が乾燥しているときには湿気を放出してくれるる優れた床材で、二酸化炭素やホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着する効果もあるのです。また、襖や障子に使われる「和紙」も同じく調湿機能を持っています。高温多湿な日本で、快適に過ごすために和室は最適なのです。
古き良き日本の伝統建材を守りたい

福井県越前は和紙の生産地 紙祖神 岡太神社と滝製紙
生活の様式が変わったことで和室がない家が増え和室が消えつつある背景に、海外のインテリアに憧れ洋風の部屋を選んできたという事実があると思います。和室を洋室化してフローリングに、襖紙はビニール壁紙に変わって行きました。 その結果、古く長く続いてきた日本の伝統建材を私たちは失いつつあります。和室が少なくなるということは、畳や和紙の消費量が少なくなり供給量が低下することになります。実際、畳の原材料であるい草農家は年々少なくなり危機的状況にあり、それを使って畳を製造する工場や職人も仕事が少なくなってきているのです。畳だけでなく、和室がなくなると同時に襖と障子もなくなりますから、襖紙や障子紙の生産者の仕事も年々少なくなり廃業する工場が後が経たない残念な状況なのです。
そんな状況に「少しでも歯止めをかけたい!古き良き日本の伝統建材を守り後世に伝えたい!」とMATERIALの姉妹会社の空間デザイン事務所の夏水組がプロジェクトを立ち上げたのが2014年。
襖紙と和紙の工場と協力して、日本の古き良きものが活躍できる場を探すため、日本だけでなく海外にも和紙の良さを知ってもらい消費を少しでも増やせるように!次世代を担う者たちが、襖や畳を作り続けたいと思える市場にするために!パリに和紙を持って行きます!!!
日本の室礼を世界へ。

パリの目的地は「MAISON&OBJECT Paris」
MATERIALの姉妹の夏水組はこの襖を世界に広めて日本人も襖の良さを再考してもらえたらという想いから、世界で一番と言われるインテリア業界の展示会「Maison &Objet」に日本の襖紙を持って展示会に4回に参加してきました。日本の和の建材の評価は世界中のインテリアのプロからの評価が高く、日本でなくても、パリやイタリアなど離れた地で畳や和紙を建材として使いたいと思っている人がたくさんいるんだということを知りました。
夏水組オリジナル襖紙づくりに欠かせない「伊勢型紙」。長い歴史を持つ日本伝統的工芸品である「伊勢型紙」を用いて生み出されます。展示会では、その伝統を繋ぐ「テラコヤ伊勢型紙」の木村さんに型紙製作を実演いただき、人だかりができるほどの人気でした。
伝統技法を使った製作方法や新しい技術を使った印刷方法の両方を未来に繋いでいくことの大切さを知りました。

和紙と襖を愛する仲間たちと一緒に過ごしたパリの時間は素晴らしい時でした
今の時代に求められる襖紙を
昔からある襖紙の見本帳、みてみたけど欲しいものが見つからなかった、という声を多数聞いてきました。何十年変わっていない色柄、中には100年以上続くものもあります。住まい方が変わってきた現代の家の室礼にあった襖紙を探しても見つからない、そこにヒントがあったのです。

一番最初にデザインした襖紙は「獅子地紋」と「月に鶴」。
「獅子地紋」は、日本の伝統的な柄で、唐草模様の中に獅子が舞っている縁起の良い柄です。着物や千代紙の柄、染め物の型の柄などに古来から愛されている柄ですが、ポイントは柄の大きさです。日本の古き良きものを大切にしながらも、斬新なデザインが求められました。
着物や千代紙の獅子の柄は小さく、壁面一面に貼り上げた時の美しさは海外の壁紙のモジュールをヒントに、この色柄の獅子地紋が完成!また、壁紙にも使えるようにと、切れ目なく模様をリピートさせて総柄にしているのも今までの襖紙とは違うところです。和紙の地色もそれぞれが日本画や着物などに使われている和の伝統色です。現在のパリのお店「BOLANDO」でも人気の獅子地紋です。
獅子地紋とほぼ同時に完成したのが「月に鶴」
日本の動物といえば鶴。その鶴を中央に配し、襖2枚引きに貼ると鶴の間から次の部屋が現れるという今までになかったインパクトのある襖紙です。背景柄も別商品で用意し、大面の壁面に鶴を配す貼り方もできる提案をしました。
「貼るだけで部屋が一気に華やかですごいインパクト!」と襖業界にとっても驚きのデザインでした。
実は、夏水組の襖紙の完成までは順風満帆というわけではなかったそうです。
「襖紙をつくりたいと、「獅子地紋」と「月に鶴」が完成する3~4年構想していました。でも、協力してくれる襖紙の会社がなかなか見つからなくて悩みました。2014年頃から全国各地の10社ほどに協力のお願いをしましたが、襖紙は伝統産業の業界です。『壁紙のようなふすま紙をつくりたい』という私の考えは受け入れてもらえず、ことごとく断られました」そんななかで手を差し伸べてくれたのが、知り合いの「TECIDO」という輸入壁紙の会社のその当時の社長の大平さん。さいたま市にある、襖紙の会社「大場紙工」を紹介してくれた。「輸入壁紙の業界とふすま紙業界はある意味、対立的な関係にあるのですが、TECIDOの社長はふすま紙を日本の伝統としてリスペクトしていて、『日本の襖を盛り上げたい』という私の想いをわかってくれたようでした。とてもありがたかったです」と夏水組の坂田さん。

お世話になっている大場紙工さん
そこから毎年新作を完成させ今では9柄41種類まで色柄が増えました。
日本の伝統模様9柄 41種類あります。


襖に欠かせない加飾技法の金銀砂子

襖といえば金銀砂子。襖紙工場には砂子職人がいます。金銀砂子が施された襖紙は美しく部屋の主役になり輝きます。
MATERIALでは金銀砂子の襖紙を特注で受注しております。 越前和紙を手揉みした和紙に襖絵を再現した特注制作で、何度も特殊印刷をかけ熟練の金銀砂子職人の技によってできた逸品です。
金銀砂子とは金と銀の箔を細かくしたものを、古来の接着剤である膠液で描いた絵の上に、竹筒で箔を空気中に舞い落として模様を描く世界でも類を見ない日本独自の金箔の加飾技法です。金独特の美しく強い光沢、保存性にも優れている金は様々な美術様式の進化と発展を遂げました。この日本独自の金銀砂子の技術ですが、和室がなくなり洋室化される現代で、砂子の技法を使った装飾品や襖を注文する人が少なくなり、日本に残る継承する職人も数えられるほどに減りました。

特注制作でお客様のご要望の寸法で制作いたします。 下地の色、金銀砂子の位置と大きさ、色などお客様のご要望にて調整いたします。 素晴らしい日本の伝統的な金銀砂子の技法を大場紙工の職人たちと一緒にお楽しみください。
金銀砂子の詳しい記事は こちら から
イタリア木版と日本の和紙

日本とイタリアの伝統が織りなす壁装材。イタリアの木版プリントメーカーBERTOZZI(ベルトッツィ)と越前和紙のコラボ商品です。 NHKの番組「世界はほしいモノにあふれてる」でもご紹介いただいた商品で、日本伝統の福井県越前和紙に、BERTOZZIがイタリア伝統の柄を木版プリントで施したもの。越前和紙の質感と、他にはない美しいイタリア伝統の柄をぜひお楽しみください。
詳しい記事は こちら から